アスリートの視点で見るWOODY PRESS
今回は、プロスノーボーダー菊田光司郎さんをゲストに迎え、MOJANEアドバイザー田中岳宏さんと共に、スノーボードとサーフィン、2つの視点からCARVEの使い方や効果について考察しました。撮影当日は、具体的な練習法のアイディアが次々と飛び交い、より実践的なお話を聞くことが出来ました。夏を持て余しているスノーボーダーのみなさん、オフシーズンの過ごし方の参考にしてみてはいかがでしょうか。
INTERVIEW
菊田光司郎×田中岳宏
Q1.WOODY PRESS CARVEに乗った感想
kikuta : 前足と後ろ足の両方を使って”角付け(スノーボードを立てる動き)”する感覚や、ターン切り替え時の最初の捉え、ターンの導入部分の前足の使い方がスノーボードにそっくりでした。
スノーボードでは、1つのターンの中で「前足→真ん中→後ろ足」へと自分の重心が変化していきますが、CARVEでもよく似た動きが出来て、なおかつその動きが出来た時は板が走っていくんですよね。ボードが走っている=重心移動ができている証拠です。
重心移動が上手くいったときは、切り替えでの加速でギュンっと板が跳ね返ってくるような感触があり、次の切り替えしへと繋がっていきます。逆に、重心移動が出来ていないと、そのターンの切り替え時に加速が感じられません。これはスノーボードに近いですね。また、誤魔化しがきかないので、ピンポイントで重心位置の練習をすることが出来ると思いました。
tanaka :僕が初めてCARVEに乗ったのは、スノーボードシーズンが終わってすぐでした。ショートターンの練習をした感覚がスノーボードと良く似ていて、インパクトがありましたね。
サーフィンに関しても、自分が目指しているカービングのサーフィンに絶対良いな、という手応えがありました。ボトムでレール入れて走らせるような、そんなイメージに似ているなって。あと、開発にはプロサーファーの意見が取り入れられているという点でも信頼感があります。
CARVEは、ボトムターンからトップターン、ダウンザラインからカービング、という練習に良いですね。あとは連動です。板、骨盤、身体の動きをリンクさせる事が出来るようになると思います。
Q2.他のサーフスケートとCARVEの違い
kikuta : 僕はグラビティ(スラスターシステムトラック)を持っていますが、CARVEと乗り比べると、グラビティはサーフィンの動き、CARVEはスノーボードの動き、に分けられると思います。グラビティは、前足を主体にしてスケートをしていくのですが、後ろ足の角付けが作りづらかったんです。前足を踏み込むと前足の角付け量は取れるんですけども、後ろ足は結構フラットに近い、という感覚です。今回CARVEに乗ってみて、両方の足の角付けがちゃんと取れるという違いがありました。両足がしっかりと倒せる点で、スノーボードにより近い、と言えると思います。
tanaka : 今まではサーフィンの陸トレとして、WOODY PRESSのスラスターを使っていました。サーフィンでは、レールワークでボードを動かしたり、スピードに乗せていくんですよね。その為にはパワーを溜めてきっかけを作る必要があります。
スラスターでは、板を立ててタメを作ろうとした時、そのパワーが逃げていく様な感覚があり、瞬発的な動きになりがちでした。板がクネクネと曲がるので、力が弱い女性やビギナーにはメリットがあります。一方、新しいCARVEトラックは、溜めた力を逃すことなく、よりパワフルでダイナミックな動きに繋げることが出来ます。モーションをキープしたままスピードに乗る(もちろんその間は踏み続けているんですけど)という、大きく動かすサーフィンの感覚が掴めます。
Q3.CARVEをどんな人に勧めたいですか?
kikuta : スノーボードのショートターンが苦手な人です。普段、皆さんが滑っている中でも、ショートターンは気持ち良く滑るというより、人や障害物を避けたり、急斜面を滑り降りる際など、安全に滑るという意識が強い技術だと言えます。スノーボードのテクニカルの種目ではショートターンの技術が求められますが、わざわざ大会の種目の為だけにその練習をするっていう人は実は少なくて、気持ちの良いミドル~ロングターンに注力しがちなんですね。シーズン中、ショートターンを疎かにしてしまった人は、是非、夏の間にスケートを使って、ショートターンをしっかりと補ってもらいたいと思います。
tanaka : 間違ったフォームでサーフィンをしている人に使って欲しいですね。スラスターに比べると乗り始めは動かしづらく感じると思いますが、フォームを少し修正するだけで動くようになってきます。
「サーフィンをやってもやっても上達しない」と思っている人に多いのが、自己流によるフォームの癖。間違ったフォームではCARVEは動いてくれないので、動かすためにはフォームの改善が必要、つまり正しいフォームへと繋がります。「このスケートが動く様になったら、サーフィンが今よりも上手く動かせるかもしれない」と思うと、モチベーション維持や、上達の突破口になってくれるかも知れませんよね。
陸上で気軽にできるスケートは、色々なフォームが試せます。先ずは陸で動作を理解し身体で覚える。陸でできたことを海に持って行く、という手順はとても合理的です。僕がコーチを務めているMOJANE SURF SCHOOLのレッスンでも是非取り入れたいと思っています。今、壁にぶつかっている人は、一度立ち止まってCARVEを試してみて欲しいですね。また、自分は出来ているという自信がある人は、本当かどうか試してみるのも面白いですよ。
tanaka :今回の様に、スケートの練習を撮影し合ってチェックするという事も、海でサーフィンをしながらよりも断然行いやすいと思います。大事なのは、見てくれる人がいるかどうか、ということですね。自分では低い姿勢のつもりでも他から見るとまだまだ高いと言われてショックを受けることもありますけど(笑)。自己満足で終わらせず、修正していきましょう。