REVIEW2017 2018ニセコモイワオフショアスノーシェイプス

3月のニセコモイワでOFSR体験。

2017-2018 OFFSHORE SNOWSHAPESレビュー

2019-2020からのOFF SHORE SNOW SHAPESについて

【2019/7/12追記】
OFF SHORE SNOW SHAPESは、201-2020シーズンより自社工場及び公式サイトのみでの販売となる旨が発表されました。
そのため、今後のOFSRに関するお問い合わせは、ブランド公式サイトから行って下さいますようお願いいたします。

これまでに当店でご購入頂きましたOFSRボードについては、引き続きサポートを受け付けておりますので、どうぞご安心ください。

OFSR公式サイト

WHAT’S OFSR?

OFSR factory location

“Powder, can be freestyle”

2017年春、ニセコ・モイワ山麓にスノーボード工場を構えたOFF SHORE SNOWSHAPES(オフショアスノーシェイプス)。攻撃的なライディングスタイルでニセコを遊びつくしてきたアンバサダーたちが、ハンドクラフトでスノーボードを製作しています。ラインナップはどれも遊び心があり個性豊か。雪に映えるグラフィックスも得意です。

また、現行モデル(全5種)を基に、レングスやフレックス、構造までを自分好みにカスタマイズ出来る点もガレージブランドならではの斬新な試み。自分だけのオリジナルボードを作ることは、様々な板を試し追求してきたスノーボーダーにとって夢のある話ではないでしょうか。

OFSRのルーツはAUSサーフィン

ニセコモイワでOFSR試乗

OFF SHORE SNOWSHAPESの魅力は”オーストラリア人が北海道で作ったスノーボード”というユニークなミックス感覚。彼らの故郷バイロンベイでは、海沿いのサーフガレージをノックしてサーフボードを手に入れる、ということが日常。その感覚をスノーボードで、そしてニセコで完成させました。

ファウンダーであるジョシュとリチャードは、世界各地から素材を集めて”乗り味”を追求しています。スノーボードのコアとなる木材はヨーロッパから、強度の為のファイバーグラスは、サーフボード(HAYDENSHAPES,JS,CHILLI等)に使われているオーストラリアのメーカーを採用。硬化剤は日本製だそうです。また、彼らのオリジナルテクノロジーであるパワーコードやツインピンといったネーミングも、サーフボードからのアイディアです。スノーボード作りにもとことんサーフスタンスで挑んでいます。

試乗はもちろんニセコモイワで

offshore snowshapesのボード
offshore snowshapes試乗の様子

“Powder, can be freestyle (パウダー好きだけど、ジャンプもできるぜ)”というテーマからも、彼らが掲げるダイナミックな世界観が伺えるかと思いますが、気になるのは「目新しさはさておき、実際どうなの?」という件。
今回は、2017-2018シーズンのSNURFS UP、CABIN FEVER、RUSS WINFIELDの3モデルを中心に、解説と試乗レビューをまとめます。

テストを行ったのは3月下旬のニセコモイワ。ゲレンデから徒歩数分でOFF SHORE SNOWSHAPESの工場があります。バインディングはUNION BINDINGとFLUX BINDINGを持ち込みました。

当日はアイスバーンの上にうっすらと新雪が積り、日が差せば雪面が溶けて緩み、また新雪が降り重なり…という変わりやすい天候。ボードのポテンシャルを計りやすいコンディションでした。

協力してくれたのは、ジビングやフリーライディングを得意とし、どんな時もパークスタイルで攻める藤森くん、そしてハードギアのレビューには欠かせない存在の平山くん。

スノーボードは必ずしも軽さが重要ではありませんが、オフショアのボードはお世辞にも軽いとは言えません。どのモデルもしっかりした重量感がありながら、フレックスは柔らかく、不思議な感触です。経験豊富な2人に、オフショアはどの様に映るのでしょうか。

SNURFS UP スナーフスアップ

SNURFS UP
SNURFS UP
ソールには手描きのデータ

OFF SHORE SNOWSHAPESに興味があれば、レベルを問わず、まずチェックして頂きたいフラッグシップモデル。フリーライディングを中心に、高いレベルで全てをこなすボードです。

OFSR創設者ジョシュのお気に入りモデルで、彼らのルーツであるサーフボード(クラシカルなミッドレングスサーフボード)にインスパイアされたアウトラインは、通常のディレクショナルボードと比較するとややボリュームがあります。サイズ展開は148,154, 157, 160。

SNURFS UPに乗る諸橋正太
SNURFS UP × 諸橋正太

あらゆる斜面を楽しむぞ!というイメージ

身長181cmの僕は160を選びました。ボードを持った印象とは裏腹に、驚くほど踏み込むことが出来て、跳ねる、そして柔らかさを感じません。テーパード(ノーズウェストからテールにかけて細い)ボードなのでターン弧が作りやすく、安定感のあるターンが楽しめます。中斜面での切れ上がり(斜面に対して登っていくようなターンの動き)や、踏みながら斜面を落としていくターンがとても気持ち良かったです。新雪が圧雪された中斜面でターンを仕掛けていくには、とても楽しいボードだと思います。

モイワの山は、滑り出すとすぐにスピードを出せる斜面がありますが、高速でもばたつきませんでした。エッジチューン次第では急斜面もいけるでしょう。

SNURFS UP × 諸橋正太
TEST RIDER 諸橋正太

形状はディレクショナルですが、スイッチスタンスも可能です。ボードを自在に動かすことが出来るので、ディープパウダーならセットフロントでスイッチエントリー。パウダーが無い日は、質の高いカービングや、ノーズ、テールを使ったバターで遊べます。フレックスは扱い易い設定なので、ターン練習中の初心者はもちろん、反発力やターン弧を自在に操れるボードを求めている中・上級者にとっても非常に良いボードです。このボードが似合わないスタイルはストリートジビングくらいではないでしょうか。

SNURFS UPに乗る平山雅一
SNURFS UP × 平山雅一

ツリーランやパウダーでのトリックが楽しい

オフショアスノーシェイプスのボード全般に言えるのですが、触った感覚ではソフトフレックスでも、実際に乗ると良い意味で柔らかさが気にならず、程よい張り感があります。パウダーでの浮き方は、テイパーが入ったボードの様にノーズから浮き上がるのではなく、全体に均一に浮くバートンのフラットトップの様な感覚。更に回転性も良いので、ツリーランやパウダーでのトリックにも適したボードだと思います。ターンメインならキャビンフィーバー、動かしながら楽しむならスナーフスアップ、といったところでしょうか。

SNURFS UP × 平山雅一
TEST RIDER 平山雅一

自由度の高いUNIONのビンディングと相性がとても良かったので、ファルコアやウルトラLTDをセットアップして乗ると良いなと感じました。個人的にはこのタイプのパウダーボードでツインチップ形状のものが好みなので、スナーフスアップツインのようなボードをオーダーしてみたいです。類似モデルとしては、ブランチマネージャーやフラットトップの時のトリックポニー。

使用バインディング:FLUX(XV LTD,DS LTD),UNION(FALCORE,ULTRA LTD)

CABIN FEVER キャビンフィーバー

CABIN FEVER
CABIN FEVER
CABIN FEVERソール

ビッグマウンテンをハイスピードで駆け抜けるOFF SHORE SNOW SHAPESのロングボードです。サイズは149,154,158,162。MOJANEラインナップの中で類似するモデルとしては、Fjell Mt1548、BURTON SPEED DATEなどが挙げられます。遊び心あるロングボードは、ゲレンデ内でも大いに楽しめるということを感じさせてくれます。

「僻地や狭所に閉じ込められて起きる異常な精神状態」を意味する”CABIN FEVER”、これに乗って抜け出そうというメッセージが込められているのかもしれません。

CABIN FEVERに乗る諸橋正太
CABIN FEVER × 諸橋正太

ボードに自由を与えるテールロッカー

158を試乗しました。切れ上がるターンを得意とするSNURFS UPに対し、CABIN FEVERはフレックスに強度があり、ターンの弧を決めるサイドカットも直進的な数字。スピードを出して、縦に縦に突っ込んでいくボードです。

いかにもパウダーボード感がありますが、オフショアのテーマであるフリースタイルスノーボーディング要素は、このポップなテールデザインに表れています。スワローテールは、テールの負荷を感じることなく新雪を踏み込める感触がパウダーフリークに人気ですが、彼らが作ったスワローテールには強いロッカーが入っています。このテールロッカーが驚くほどボードを自由にさせていて、新鮮な乗り心地でした。

テクニカル分野ではご法度ですが、ターンの途中でノーズを浮かせたチクタク動作が面白く、きっとタイトなツリーランでも機敏に動いてくれるだろうと思います。

一方のノーズロッカーは、スピードを優先させて寝かせてあり、ターンの初動がとても早く、有効エッジが長い為、緩斜面でも急斜面でも張り付く様なターンの感触です。直進的なテクニックが要求されるツリーランも、ひらけたバーンでのダイナミックなロングターンにも、どちらにも適しています。また、ピンと尖ったノーズは、ラウンド形状のノーズと比較して、ターンの切り返しや未圧雪を切り進む感覚が鮮やかに感じられます(BURTON SKIP JACK LIMITEDにも通じるノーズの感覚です)。

CABIN FEVER × 諸橋正太
TEST RIDER 諸橋正太

ロングボードには抵抗があった僕ですが、あまりの楽しさに2018-2019 CABIN FEVER 162をオーダー。この直進的なボードで、敢えて切れ上がるターンを練習したいと思います。ボードが進む動きに負荷をかけることで、より強烈な重力を体感できるのでは?と期待しています。テールロッカーは壁への当て込みに役立つはずです。深いパウダーシチュエーションなら尚更ですね!ノーズを使ったグリグリのグランドトリック的要素は期待していません。有効エッジを全面に使った壁への当て込みを楽しみたいと思います。

OFSR試乗|ニセコモイワ
OFSR試乗|ニセコモイワ
OFSR試乗|ニセコモイワ
OFSR試乗|ニセコモイワ

安定性と攻撃性が混在する新たな乗り心地

CABIN FEVER × 平山雅一
TEST RIDER 平山 雅一

触った感覚や見た目からは扱いやすそうなソフトフレックスで、いかにも気持ち良く滑れそうな”メローなフリーランボード”かな?という印象でしたが、実際に試乗してみると全く真逆のボードで、ハイスピードでもばたつかない安定性があり、踏み込むとそれに応えてくれる攻撃性もあり、驚きました。ターンの伸びがとても心地良いボードで、個人的にはターンをしながら攻めたくなる、今までにないタイプのボードでした。

バートンで例えるなら、ランドロードとブランチマネージャーを組み合わせたようなボードで、類似ボードを強いて挙げるならYESのオプティミスティックといったところでしょうか。

パウダーでの使用ももちろんバッチリですが、やはり一番はピステンでどんどん踏み込んで加速していく気持ち良さが感じられるボードでした。ビンディングはレスポンスの良いものを合わせたいです。
使用バインディング:FLUX(XV LTD,DS LTD)

RUSS WINFIELD ラス ウィンフィールド

RUSS WINFIELDをチェックする藤森達郎くん
RUSSELL WINFIELD
RUSSELL WINFIELD

90年代に活躍した史上初の黒人プロスノーボーダーRUSSELL WINFIELD(ラッセル・ウィンフィールド)のシグネイチャーモデル。身体能力を活かしたスケートスタイルな滑りでニュースクール世代を牽引。ベン・ヒンクリーや、ケィア・ディロンなどの黒人スノーボーダーたちも、彼の影響を受けスターダムへ。スノーボードシーンのリビング・レジェンドの一人です。

RUSS WINFIELDに乗る藤森達郎くん
RUSS WINFIELD × 藤森達郎

時にはガッツリ飛びたい人に!

RUSS WINFIELD × 藤森達郎
TEST RIDER 藤森達郎

今、僕が乗ってるSIGNAL (JAKE 151)より少し硬く、スピードを出した時の安定感は抜群です。自分的にはもう少し柔らかいフレックスが好みなのですが、プレスしてもオーリーしても反発力は十分なので、特にキッカーでは性能を発揮するのではないかと思います。 ターンはしっかり踏めて、SIGNALよりも小回りが効きます。カーブの具合と捻った時のトーションの反発とその反応が早い気がします。総合して、高速でフリーランして時にはガッツリ飛びたい人に適した板だと思います!!

RUSS WINFIELDに乗る平山雅一くん
RUSS WINFIELD × 平山雅一

個性を大事にしたい人にお勧め

個性あるパウダーボードというオフショアのイメージを良い意味で裏切る、一般的なキャンバーツインチップボードでした。前述の2モデルは他ブランドの類似形状のボードに比べて、よりレスポンシブルで回転性が高かったのに対して、このボードは見た目、感触、そして実際にに乗ってみた感覚もイメージ通りのボードです。決して易しくはありませんが、誰もが親しんで乗れるボードだと思います。

RUSS WINFIELD × 平山雅一
TEST RIDER 平山 雅一

ただこのタイプのボードは、他のビックメーカーからも沢山リリースされているので、周りとは違うボードに乗りたいけれどクセの強いボードはちょっと…という人にお勧めしたいと思います。

相性の良さそうなバインディングはBURTON MALAVITAやUNION ULTRA LTD。使用バインディングFLUX(XV LTD,DS LTD)

OFSR試乗の様子

テストライダー平山くんの総まとめ

特に印象的だったのは、これまで僕が思っていたオフショアの「気持ちよく乗れて、パウダーに特化したメローなボードを作る」というイメージと、実際の乗り心地とのギャップです。乗ってみるとほとんどのラインナップが他メーカーよりも攻め攻めな作りになっていて、インパクトがありました。

更にパウダーだけでなくほかのフィールドでの使用も十分に考えられた計算された作りになっていたことにも驚きました。スタイルによって好みは分かれると思いますが、これまでしっかりと乗り込んできた中・上級者のスノーボーダーにこそ、こだわりのカスタムオーダーで乗ってもらいたいと思います。

offshore snowshapes

SEA BISCUIT シービスケット

SEA BISCUIT
SEA BISCUITソール
OFSR 日本製ステッカー

豪雪地帯で有名なニセコエリアは、一晩で30cm~50cmもの雪が降ることも珍しくありません。また、その雪質は水分を含みながらもドライ。そんな環境に注目した、ニセコを楽しむためのショートファット・パウダーボードです。

深雪でも取り回しが効く様にレングスは短く、ウェストワイドは短さをカバーして浮力を維持するよう設計されています。MOJANEのラインナップの中で類似するモデルとして、THE420(YES NOW BOARD)が挙げられます。420がフラット形状なのに対し、SEA BISCUITはキャンバー形状です。ウェストも420よりもやや狭め。ノーズ、テールはラウンド・ピン。420はラウンド形状なので、浮力は420に軍配が上がりますが、カービング性能では SEA BISCUITが圧倒的。ショートボードに抵抗がある方でも普通に乗れてしまいます。

ショートファットボードの微妙なニュアンスを伝えることは難しいのですが、とても面白い分野なので、ご興味のある方は是非、実物をチェックしにご来店ください。

HALF BAKED ハーフベイクド

オールマウンテン・フリースタイルボード。ツインチップなので、スイッチでもパウダーにガンガン突っ込みたいライダーにお勧めです。

形状は、足元がキャンバー、ノーズ、テールに向かってロッカーが入る”CAM-ROCK”。フレックスはミディアムと表記されていますが、日本人にとって踏みやすく、上級者も安心できるしなりと反発力を備えています。ただ、大柄で体重がある上級者には、少し不安があります。

ターンのきっかけを掴みやすく、扱いやすいフレックスなので、スノーボードビギナーにも自信を持ってお勧めできます。量販店で揃えた3点セットから卒業して、初めてのボードがOFFSHOREとなれば、かなりお洒落なスノーボードライフが拓けるはずです。

HALF BAKEDという言葉の直訳は”生焼け”や”いいかげん”といったネガティブなイメージですが、1998年公開の同名映画がネーミングの由来ではないのか?という密かな憶測。次の機会に聞いてみようと思います。

Jake McCarthy offshore snowshapes
Jake McCarthy offshore snowshapes

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